「正月サンタ篇」

正月も気分が抜けない。

豪雪地帯を走ると、機関車はサンタ顔になる。
クリスマス時期はまだしも、これが3月までつづく。
せめて節分の頃、赤鬼とか言えればいいのだけれど。
おなじ「届ける」を仕事にしていながら、
貨物輸送はサンタとちがって地味だ。
空も飛べないし、幼稚園を訪問することもない。
でも、地味ながらも、地道にやっている。
運転する者は、
いつ出てくるかわからないエゾシカたちを警戒する。
点検する者は、
マニュアル通り「こなす」ことなく、
機械の調子をカラダで感じるよう研ぎ澄ませている。
トラックやフォークリフトを扱う者は、
ターミナル駅を縫うように巧みに動き回る。
どの持ち場でも、
経験のある者ほど、一瞬の怖さを知っている。
いつだって、気が抜けない。
世の中を当たり前に動かし、日常をもたらす。
たいていの仕事はこんなふうに、
人知れず、けれど、誇りをもって社会の一部を成す。
あなたの仕事はどうだろうか?
仕事始めの日はそれぞれだろうけど、
仕事について考えてみる正月も悪くないかもしれない。

掲載日 2019年1月1日
掲載紙面:北海道新聞 15段

Creative Director / Copy Writer:池端 宏介
Designer:川尻 固広
Photographer:高坂 秀和

【企画制作・池端の一口メモ】
元日恒例の読ませる広告。正月休みもなく年中無休の物流業界をメッセージ化した。直接自宅に届ける宅配業界とは違い、輸送業界はどうしても目に見えない部分が多く、毎回あの手この手で伝える表現を考えている。白ひげを蓄えたサンタクロースのような顔の機関車をモチーフにしました。