「助けあい篇」

いっしょなら、
のりこえられる。

先頭の機関車だけでは、
引っぱりきれない山のぼり。
この路線では、最後尾からもう一台の機関車が押す。
コンテナは重く、貨車は長い。
助け合いながら北見・旭川間の常紋峠を行く。
運転士もここだけは前後の二人体制になる。
どんな仕事も、助け合いが必要だ。
機械化、AI化が進むほど、
現場を孤立させてはいけない。
助けあう。それは美徳ではなく、人の歴史だ。
いまこの瞬間、誰かに助けてもらっている人も、
何かの折には、人を支える出番がくる。
逆に、いまサポートしている側の人だって、
誰かの手を借りるときが必ずある。
地域、学校、家庭。
「助けてほしい」は我慢しなくていい。
物理的なヘルプも、制度的な支援も、
心の支えになる。
誰ひとり取りこぼさない社会へ。前進する2022年。

掲載日 2022年1月1日
掲載紙面:北海道新聞 15段

Creative Director / Copy Writer:池端 宏介
Photographer:高坂 秀和
Designer:石川 ヨシ

【企画制作・池端の一口メモ】
石北本線の常紋峠(常呂と紋別を結ぶ難所)を行く貨物列車。「プッシュ・プル」と呼ばれる方式で機関車が前後二台の編成になり、最後尾からも押しています。文字通り助けあいながら峠越えをして目的地へ向かう姿。速度はゆっくりですが着実に安全に走り切ります。運んでいるのは主にタマネギなどオホーツク地方の一次産品。ターミナル駅の向こうにはもちろん都市をはじめ消費地があり、生活者のお宅や外食産業の店舗などに商品はたどりつきます。
コロナで格差が広がっている世相と重ね合わせ、現代社会において助け合うことの重要性をメッセージにしました。