2022.02.09 PROJECT

産業発展とまちづくりの
一体化に取り組むデザイン

BRANDINGPRODUCTSVI / DIWEB
Visit Website

OVERVIEW

北海道美瑛町は丘陵地形から生まれる
美しい農業景観から「丘のまちびえい」として知られる農業のまちです。
その農業景観をつくる一品目でもある小麦は、町外事業者から高く評価されてきました。
2020年「美瑛小麦推進協議会」が発足し、美瑛町産小麦を「美瑛小麦」と名付け、
美瑛町産小麦をブランド化し情報発信に取り組むプロジェクトがはじまりました。

まずはじめに、私たちが食、観光と数年間美瑛町に関わる中で、
感じてきたことを振り返りながら「何のためのプロジェクトか」を改めて明確にし、
美瑛小麦プロジェクトの「社会への役割」を次のように考えました。
・高品質な美瑛小麦を次世代に継承すること ・多くの人を魅了する、美瑛の農業景観の継承 ・地元の生産者、事業者、生活者が美瑛小麦に誇りを持つこと

そこで必要なのは、単なる美瑛小麦のマークという見た目づくりではなく、
農業と丘の風景の密接な関わり、美瑛の生い立ちのデザインです。
合言葉は「小麦づくりは、まちづくり。」
「農業、人びと、まち」、美瑛全体に関わることとして多面的に捉え、
その場所でしかできないブランディングを導き出しています。

小麦を生産する農家さん、小麦を製粉する製粉会社、
小麦をつかうシェフたちから生活者のもとに届いていく。
美瑛小麦を通したプロジェクトの全体像のつながりや空気感を醸し出しながら、
人びとの心に届くように、“想像し期待する”デザインを展開しています。

4輪作で農家さんたちの畑での営みから生まれるパッチワークの丘。
美瑛の丘の美しさがひろがった農村景観の写真作品。
美瑛の景観と農業のつながりを丘の写真のイメージから展開し、
「美瑛の風景は毎年異なる」というコンセプトから、四季にわたり
変化するダイナミックアイデンティティの考えでデザインしました。

次は、麦だ。

⼩⻨は、世界の原材料。
あらゆるおいしさへと、⼩⻨粉は姿を変える。
⾷のプロからも評価の⾼い美瑛産の⼩⻨は、
地域ブランドとして育てていく。
⼣張メロンや⼋丁味噌、神⼾ビーフのように
⽇本を代表するローカル産品になる。
農業を盛り上げ、消費の拡⼤はもとより、
観光にもつなげる。
夏⾵に揺れる⻨穂。畑は広⼤なステージだ。
ブランドの整備によって観光客のモラルも上げたい。
パン職⼈、パティシエ、製粉、製麺業をはじめ、
地域のみなさん、⼦どもたち、
みんなが集まり、産地で学ぶ。
⽣産者は先⽣でもある。
野菜、肉、そしてパンやうどんにスイーツ。
美瑛の⾷を存分に味わってもらい、
そのおみやげは⼿から⼿へ広がる。
「やっぱり小麦は美瑛小麦だね」
⽇本中の調理⼈や⽬利きたちに選んでもらう。
かつて前⽥真三さんが撮った⼩⻨畑の写真。
全国に名を馳せる「丘のまちびえい」のはじまりだ。
ここでしか⽣まれない、
普遍的な価値を継承していこう。

美瑛小麦認証店舗の証として、認定証を作成。
美瑛産カラマツ、美瑛産小麦のブーケを使用し、
(「きたほなみ」「ゆめちから」「春よ恋」の3品種)
美瑛に工房を構えるキトテ工作様に制作いただきました。

“変化”の2年目。

2022年に、取り組み2年目を迎えた美瑛小麦。
2021年のデザインを継続しながら、
新たに「変化」をテーマに展開していきます。

毎年変化がある美瑛町の農業風景。
小麦の収穫から製粉、加工までの変化、
そして美瑛小麦の発展による変化。

パン、麺、お菓子。私たちの日常にある小麦。
日常との関係として、
季節に寄り添い生きる小麦の風景と
私たちが過ごす時間の流れをビジュアルに取り入れ、
2年目の取り組みとして変化する姿勢(発展)と
美瑛小麦との関係性を整理しました。

収穫まで毎日成長をつづける、小麦。
小麦をつかう人々によって味にも個性があります。
そういった日々の中にある変化への
「気づき」を題材に動画を制作しました。